「止まったままだった時間をいっしょに進んでいこう」/2020年に対するPerfumeの発言

昨日、政府として、対策の基本方針を決定しました。

政府といたしましては、この1、2週間が感染拡大防止に極めて重要であることを踏まえ、また、多数の方が集まるような全国的なスポーツ、文化イベント等については、大規模な感染リスクがあることを勘案し、今後2週間は、中止、延期又は規模縮小等の対応を要請することといたします。

 

上記要請が出た2020年2月26日から1年が経つ。

 

「あの日から時間が止まったまま」という声も散見したし、自分でもそう感じることもあるけれど、1年経ったこのタイミングで今一度、"悪夢のような2020年"に対してPerfumeがどんな言葉を残してきたか、振り返ってみようと思う。

 

ファンクラブコンテンツや配信ライブは振り返りきれなかったが、それらを保存した方々はぜひ、あわせて観返してみてください。特に「POP FES『Imaginary Museum』」。めっちゃ元気出ると思う。

 

では以下、振り返りです。

この記事はただ振り返るだけ振り返って、そのまま終わります。

 

 

* * *

 

 

■2020年3月2日(月) TOKYO FMSCHOOL OF LOCK!

ドームツアーの感想を研究せよ!! | SCHOOL OF LOCK! | Perfume LOCKS!

あ:2月26日に東京ドームで行われる予定だった「Perfume 8th Tour 2020 “P Cubed” in Dome」ですが、新型コロナウイルス感染症対策本部にて政府に要請された方針に従い、公演を中止とさせて頂きました。当日の中止発表となってしまい、私たちもリハーサルを行っている途中だったんですけれども、本当にすいません。申し訳ございませんでした。

か:ドームの外にもう既に来てくれてた方たちもたくさんいたからね。びっくりされたと思うんですが、本当に申し訳ございません。

あ:そして今は、一刻も早く収束すること願います。

 

(多数のメールを受けて)

あ:自分たち以上に悲しんでくれて。自分たち以上に悔しいって言ってくれて。自分たちのほんと、代弁者だなぁって。そういう人たちが、でも3人のことがいちばん心配だよって、また笑顔でステージ立てるように僕たちは待ってるよって、たくさんメッセージ頂きまして。もう本当に力が湧きました。この湧いた力を自分たちのこれからの次のステージに必ず向けて、またみんなと会える機会を作りますので。ちょっとだけ待っていただいて、私たちのこと信じていてください。

 

■2020年4月13日(月) TOKYO FMSCHOOL OF LOCK!

(4月7日の緊急事態宣言発令後初の放送)

Perfume LOCKS!的リモート授業を研究せよ。 | SCHOOL OF LOCK! | Perfume LOCKS!

あ:今夜のPerfume LOCKS!ですが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、リモート授業をお届けしています。

か:生徒の皆さんもね、非常事態宣言が出た地域もありますので、学校が休校になったり、外出自粛をしたりとかね、不自由な暮らしをしているんではないかなと思ってます。

あ:そうですね。私たちもうずっと会ってないよね。

の:会ってないね。

か:うちらは、こうやってお仕事だけどさ、学校の子たちはここのタイミングでしかない卒業式とか入学式とかね、出れたり出れなかったりって不安な思いがあったと思うけど…なんか少しでも私たちで明るくなってもらえたらいいよね。

あ:これで今まで無かった時間とかができて、忙しかった人はあれ?何しよう?ってもしかしたらなるかもしれないんだけど。けど、私たちは会えてないけど、毎日のようにこうやって繋いだりとかして、お話ししたり、打ち合わせしたりとか。取材をこのまま受けたりとか、あとは未来の話…そういう話を3人でしたりして。

 

■2020年6月22日(月) TOKYO FMSCHOOL OF LOCK!

「生徒のみんなが今いちばんしたいことを研究せよ!」 | SCHOOL OF LOCK! | Perfume LOCKS!

あ:最近ね、3人で会ったんですよ。
の:会いました。
か:2ヶ月半くらいかな?会って仕事するのは。
あ:そうそう。Perfume結成20年、こんなに会わなかったことないですね。

 

(「Perfume 8th Tour 2020 “P Cubed” in Dome」の映像化を受けて)

あ:自分がPerfumeってものを本当に大事にしてるってことと、自粛期間中で離れてたっていうか、3人とも会えなかった期間があったけど、ここになんか…確実にここにPerfumeっていう団体があるんだなっていうことが実感できて嬉しかった。
か:なんか久しぶりに自分たちのライブの映像を見たら、こんなかっこいいことやってたんだ〜!って嬉しくなった。

 

■2020年7月2日(木) NHK「みんなでエール キックオフスペシャル」

(ドーム公演中止について)

か:大切な人たちを守るためには、この決断が正しかったんだなって。

 

■2020年9月4日(金) 映画『Reframe THEATER EXPERIENCE with you』パンフレット

(映画、配信コンテンツについて)

か:やっぱりできる限りお客さんと一緒に体感したいという気持ちでずっといるんです。ただ、今はこういう時代。映画館で観てもらえる機会を作ってもらえただけで本当にありがたいし、嬉しいと思っています。(中略)ステイホーム期間に、私もオンライン無観客ライブはけっこう観ました。でも、正直やっぱり寂しくなるんですよ。画面越しでは温度が伝わらないというのが。これまで自分が一番大事に思ってきて、嬉しいと思えてたのは、会場で体感できるあの熱量なんだなと実感しました。それをどうにかできる道がきっとあると思ってて。

 

(×テクノロジーについて)

か:距離を取らなきゃいけない、マスクしなきゃいけない、大きな声を出しちゃいけない……を、きっと逆転の発想で可能性に変えていってくれると思います。そういう新しいカタチになっても、私たちはお客さんと一緒に体感できる、心に響くライブをしていきたいです。

 

■2020年9月4日(金) 『音楽と人』2020年10月号インタビュー

(ドーム公演中止について)

か:ショックだったけど、いつ中止になってもおかしくない状況だなって、24日の夜に覚悟はして臨んでいたので、そこまで取り乱すことはなかったです。だってこれが最後じゃないから。その日を選んでくれた人が人生初めてのライヴだったり、もしかしたら最後になると思って来てくれた人たちがいたかもしれない。その人たちのことを思うと心が痛むけど、でも、Perfumeはまだまだ続くって、自分たちの中にはっきりとした答えがあるから。この中止ですべてが終わるわけじゃなくて、始まりにだってできるはず。それがわかってたから。

 

の:日本で一番大きな会場(東京ドーム)でやる予定だったのが私たちでしたからね。こっちの勝手ですけど、そういうもの(イベントへの自粛要請)もすべて背負ってる気持ちでいました。だって私たちがライヴ中止にしたら、あの日、ホールやライヴハウスで演る予定のバンドやアイドルの人たち、みんな中止という選択に傾くじゃないですか。そういう人たちへの申し訳ない気持ちもありましたね。

 

(ステイホーム期間の活動について)

の:Perfumeって、そんなに日常を見せてこなかったと思うんですよ。こういうインタビューだとぶっちゃけてても(笑)、一般的には生活感をあまり見せない。だからこのタイミングで何かをやるとなると、自宅からが基本になるから、それを見せる見せないの考え方を、ここで一気に変える時じゃない、って。(中略)コロナ禍で社会のシステムとか、いろんなことが変わるタイミングだけど、変わるのは今じゃないな、と思ったんです。どんどん変化していきたいけど、でも今じゃない。私たちにはまだまだ長い時間があって、これからも道は続いていくんだから。

 

■2020年9月16日(水) 音楽ナタリー「Perfume『Time Warp』インタビュー」

Perfume「Time Warp」インタビュー|コロナ禍で迎えた20周年を経て、生まれ変わろうとする3人の今 - 音楽ナタリー 特集・インタビュー

(ドーム公演中止について)

あ:めちゃくちゃショックでした。思い出すとなんかこう、いろんな感情があふれてこみ上げてきちゃうんですけど……誰も悪くないし、その悔しさはどこにもぶつけることができない。ぶつける必要もない。それがわかってるからこそ「この気持ちをどうしたらいいんだろう?」って苦しくて。ここまでのやりきれない思いをしたのは初めてでしたね。やっぱりすっごく楽しみにしてたし、今でもとても心残りがあります。

 

(ステイホーム期間の活動について)

の:1カ月くらい経ってからやっと「こうすればライブができる」とか「テレビの収録ができる」みたいなガイドラインが決まり始めたんですけど、それまではやっぱり「これからどうすればいいんだろう」という不安をずっと抱えながら過ごしてましたね。でもそのことが、今まで「もっと改善できるはず」と思ってたいろんなことを変えるきっかけになるんじゃないかとも思ったんです。Perfumeにとって進化のときなんじゃないかって。(中略)みんなが無観客ライブとか新しいことを始めた時期に、焦って動かなかったのもPerfumeっぽいなって思ってましたね。

あ:みんな「何かやりませんか?」っていろいろ言ってくれてたんですが、自分たち的には、急いで何かをやらなきゃというのはなかった。

 

■2020年9月16日(水) JAPAN Billboard『Time Warp』インタビュー

Perfumeが語る、“過去と現在”の心境が重なりループするシングル『Time Warp』と未来の1ページをめくるドキドキ感 | Special | Billboard JAPAN

(ドーム公演中止について)

か:前日(2月25日)の夜に開催するかしないか話し合った結果、「やっぱり待ってくれている人がいるならやりたい」と思って開催して、払い戻しも行って、本当に自分の覚悟を持って集まってくれた人がたくさん来てくれたので。その人たちへの思いが表情にすごく出ていると思います。そこは、普通の東京ドームライブとは違う表情かもしれないです。

 

(『Time Warp』について)

の:過去の自分も今も未来もそれぞれ自分はそのときを生きていて、そのときにドキドキできているから、「結局は今が最高」っていう歌なんだと私は思っています。「そういう考え方で生きていこうよ」みたいな提案をしているというか。この曲は今年の初めにレコーディングしたので、今のような状況がわからない状態のときに歌った曲ではあるんですけど、すごく今欲しい曲だなって思ってます。

 

(今後の活動について)

あ:世界中の人が、「まさか」というような状況になっていますけど、(中略)これまで会えていたときだったらできなかったことができるようになっていて、逆に距離が近くなっているとも感じているんです。(中略)もともとお客さんと会える状況下であっても、私たちはライブを生配信したり、実験的なエンターテイメントは以前からやっていてそれはもう向上心でしかない世界を楽しんでいて。だから、自分たちは自分たちらしく、カッコいいと思うことをやり続けられたらいいな、と思っています。

の:できないことも増えたけど、できることとか新しい何かを生み出そうとする力の方が、明らかに大きいなと思っています。

か:こういう時期を迎えて改めて、私たちはやっぱり人が好きで、人のためにやってるという部分が強いということを再認識したんです。伝えたい思いとか真意とかは変わらないままで、形が変わっていっても面白いことができたらいいなと思っています。

 

■2020年9月28日(月) TOKYO FMSCHOOL OF LOCK!

POPFESの感想フェスを研究せよ!! | SCHOOL OF LOCK! | Perfume LOCKS!

(POP FES「Perfume Imaginary Museum」の感想メール「あの日会場にいた方々のやるせない気持ちを救ってくれたと思います」を受けて)

あ:やっぱりあの時のことがずっと心の中で乗り越えられなくて引っかかってて、納得できなかった気持ちとかいろんなモヤモヤした気持ちがあったんで。こうやって共感できると嬉しいです。よかったなって思いますね。

 

(『STORY』から始めたセットリストに関するメールを受けて)

あ:バリバリに踊るだけって曲を新しく作ってっていうこともできたんだけど、何より自分たちの今の気持ちがこの『STORY』とすごい共鳴してたから。この『STORY』から始まったところから途中の『GLITTER』も最高だしね。この祈りに近い物語が、私たちがどこまで辿っていけるんだろうかっていう期待もしていただけたと思うんですけど。そういう自分たちの気持ちと重なる部分っていうのが今回のセットリストではすごいあって…自分たちも歌いながら踊りながらこみ上げてくる瞬間っていうのは何度もあったよね。(中略)こういうふうな瞬間というか…画面を通して“遠いキミ”へ届いたんだなって。

 

■2020年12月28日(月) TOKYO FMSCHOOL OF LOCK!

Perfumeの2020年 重大ニュースBEST6を研究せよ!! | SCHOOL OF LOCK! | Perfume LOCKS!

トークテーマ「Perfumeの2020年重大ニュース」について)

の:第1位「ベストアルバムのドームツアー開催しました!最終日東京ドーム公演中止の悔しい思いを、9月のメジャーデビュー15周年&結成20周年のPOP FESで払拭!!」。

か:ギュってした~!(笑)
あ:そこは全部繋がってるんだ~!(笑)
の:繋がってます!! そうですね、ベストアルバム(『Perfume The Best “P Cubed”』)を2019年に出して、そのドームツアーを今年の2月に行ったんですけど、最終日が中止になりまして。その思いをずーっと抱えたまま過ごしていたんですけど、9月に『"P.O.P" (Perfume Online Present) Festival』っていうオンラインフェスを開催して、そこでいちばん最後にパフォーマンスさせてもらって。そこにもう全ての思いをぶつけて消化させようとしました!
か:私たちもそこで悔しい思いをして止まっていたけど、きっとお客さんも、来てくれた人もそうだし、ファンの方もこの先Perfumeどうするんだろう?って、みんなの中で衝撃で止まったままだった時間をいっしょに進んで行こうよって気持ちがすごくあったから、そこを忘れずに次に繋がるステージができたらってのでね、あの時パフォーマンスを考えてね。でもあの日、すっごい楽しかったもんね。(中略)できる範囲でいろんな事を考えてくれた中で、Perfumeにとって新しい事をたくさんさせてもらえて。未来に繋がる可能性をたくさん感じられた日だなぁってすごい思った。

 

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* * *

 

話題は"2020年"から逸れていたので上記には含めなかったが、振り返っている中であらためて印象に残った、『音楽と人』2020年10月号でのかしゆかの発言を最後に書き写しておきたい。

 

か:同じような日常を過ごしていたら変わらないし、その時の感動で終わるかもしれないけど、その中に新しい発見を見つけようと思えば、いくらでも探せるものかなって。

――代わり映えのしない日常でも、そこに何かを見つけようとすることが大事だと。

か:だって同じ1日なんてないじゃないですか。だから何回もやってる会場でも、レコーディングでも、表紙でも、どれも違う感動があります。自分が常に好奇心を溢れさせて、初めてを見つけようと生きていたら、種類が違っても、ドキドキはずっとし続けられると思いますね。

――見方によれば、昔には戻れないよねって捉えられるけど、別にそれが悪いわけじゃなくて、視点が変わればいろんなことが見られるよね、って。

か:人それぞれ、その人次第で世界が変わる。ぼんやりしてたらぼんやり終わるけど、感度を高くして拾おうと思ってたらたくさん拾える。

2020年に迎えた“再生”と、その先にあるもの/Perfume 8th Tour 2020「P Cubed」in Dome 個人的ガイドライン

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2016年10〜11月の6th Tour「COSMIC EXPLORER」以来、Perfumeにとって約3年ぶりのドームツアーとなる「P Cubed」。情報解禁にともない、今回もセットリスト&演出について、そしてそれらを観て感じた“個人的な解釈”をまとめていこうと思う。

 (本文は2月のツアー期間中に執筆)

 

【2月末追記】

今月、国内でも感染が急速に拡大した新型コロナウィルス。2月26日(水)、開演数時間前に発表された「感染拡大防止のための政府要請」のため、当日に迎えるはずだった今ツアーの千秋楽公演はやむなく中止となった。ふさぎこむようなショックを受けたファンも多いはずだが、この“個人的解釈”をとおして「Perfumeの三人が何を表現したかったのか」を少しでも汲み取ってもらえたら、と思う。

以下、新型コロナウィルスに関する情報、描写は「一切ナシ」。

 

▼Set List(括弧内はリリース年)

  OP-Opera

M01 GAME(2008)

M02 Spending all my time(2012)

M03 Dream Fighter(2008)

M04 レーザービーム(2011)

 MC

M05 Hurly Burly(2012)

M06 だいじょばない(2013)

M07 ナナナナナイロ(2019)

M08 SEVENTH HEAVEN(2007)※1

M09 P Cubed Medley ※2

M10 Chrome(2020)

M11 edge(2008)

M12 Visualization(2019)

M13 再生(2019)

 P.T.A.のコーナー

M14 Party Maker(2013)

M15 パーフェクトスター・パーフェクトスタイル(2006)

M16 TOKYO GIRL(2017)

M17 ポリリズム(2007)

M18 Challenger(2019)

 MC

M19 MY COLOR(2011)

 

* * *

 

▼第一幕【Opening〜P Cubed Medley】

過去回想の中で迎える終焉

 

本題に入る前に、まずは『Perfume The Best“P Cubed”』――Perfumeが結成20周年目、メジャーデビュー15周年目を迎える直前にリリースしたベストアルバムについて、簡単にさらっておきたい。

 

 

発売発表は、2019年6月24日(月)放送の『SCHOOL OF LOCK!』(TOKYO FM)生放送教室にて。「新曲2曲を含む全52曲収録」という当初の発表どおり、新曲『Challenger』『ナナナナナイロ』と、メジャーデビューシングル『リニアモーターガール』以降のリマスタリングした50曲を収録している。

 

 

当時、ベストが出ると事実上の活動終了になるという前例をいろいろ見ていたので、実はメンバーも僕も「終わり」が迫っているんじゃないかと感じていました。

(山本史朗/『Perfume LIVE DATA BOOK』)

 

ツアー初日のMCでのっちが、また、『Perfume LIVE DATA BOOK』内のインタビューで山本史郎(マネージャー)が語るように、Perfumeは2006年に一度ベストアルバムをリリースしている。「これで終わり」という“終止符”としてではなく、“シンプルな集大成”としては、今回の『P Cubed』が初のベストアルバムとなるのだ。

 

それを引っさげて行なう初のベストアルバムツアーは、これまで以上に“過去”を意識させる構成をとる。ピッチを変えた『ナナナナナイロ』から始まるオープニングでは、『Sweet Refrain』をきっかけに、さまざまな楽曲が混ぜ合わりながら『ポリリズム』まで辿っていく。1曲目以降も、Perfumeの“過去”を想起させる演出がこれでもかといわんばかりに詰め込まれていた。

 

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まずは『GAME』。「First Tour“GAME”」(2008)のオープニングで「扉が開いたその先、逆光の中へと三人がゆっくりと歩いていく映像」からスタートし、その後の『Dream Fighter』はMVを想起させる、シンプルなブラックバックのステージで歌い踊る。 SEVENTH HEAVEN』の冒頭には、「Perfume〜ソックス フィックス マックス〜」(2008)でのみ披露していたライブ用ピアノアレンジを差し込み、クライマックスの『ポリリズム』においては、初のドーム公演「1234567891011」(2010)にて、5万人で祝福した打ち上げ花火を打ち上げる。ファンの性質を考えるに、公演中に誰もが一度は唸ってしまうライブとなっていた。

 

 

上記は福岡公演MCのひと幕。あ〜ちゃんは今ツアー中に何度か、セットリストの意図について語っている。そのアンケート結果が開示されるのかどうか、執筆時点ではわからない。ただ、5曲目『Hurly Burly』〜『P Cubed Medley』には、このアンケートが大きく影響している。新旧問わない楽曲が、ときにはツアー中にもかかわらず微妙に流れを変えながら、数万人を踊らせるために息つく間もなく襲うように並べられていた。

 

――次に進む前に、話は少し横道にそれる。

 

知人に言われて初めて気がついたことだが、ライブ中盤を迎える『P Cubed Medley』には、2016年以降の楽曲が一切使われていない。一貫して、ブレイクの起爆剤のひとつである『チョコレイト・ディスコ』からBPMを徐々に上げていき、2015年にリリースされた『STAR TRAIN』で締めくくられる構成だ。

 

2015年とは、20年間続いてきたPerfume史において、ひとつのターニングポイントを迎えた年だ。ここで、2015年がPerfumeにとってどのような年だったのか……のっち、あ〜ちゃんが口にした言葉をもとに振り返らせてほしい。

 

常に目標を掲げて、そこに向かっていくっていうやり方で私たちは来てたんですけど、東京ドームだったりとか……もうこれ以上ないだろうなっていう目標を叶えてしまったときの不安感というか。そういうのがすごくあって。

(のっち/Eテレ『SWITCHインタビュー 達人達』。志村けんとの対談の中で)

 

15周年のアニバーサリーをやることに決めた3年前、このライブで一回立ち止まって、自分を見つめなおして、人生考えようとも思ってました。

あ〜ちゃん/『音楽と人』2015年12月号。「PPPPPPPPPP」広島グリーンアリーナ公演でのMC「いろいろ悩んだけれど、Perfumeを続けていくことに決めました」について)

  

チョコレイト・ディスコ』『ポリリズム』を機に加速度的に活動規模を拡大し、ドームという国内最大規模でのライブを、一度にかぎらず二度成功させた。そして、代々木第一体育館という“過去の後悔”を持つ会場を払拭したPerfumeは、当時26〜27歳。次々と目標を叶え続け、女性“アイドル”としてはベテランに位置した三人が、引き際を考えるには何もおかしくないタイミング――それが2015年だった。

 

結局のところ、三人は再び、別の目標を掲げて歩み始める。成長譚の第一章を終え、次の第二章へと進んでいく。『STAR TRAIN』とは、そんな三人の境目――一度意識した“終焉の瀬戸際”を象徴する楽曲なのだ。

 

話は本題、2020年の『P Cubed Medley』へと戻る。メドレーのラストを飾る『STAR TRAIN』の直前には、MVのラストシーンでコミックス(≒物語)を閉じる『未来のミュージアム』が差し込まれている。

 

 

短絡的ではあるが、『P Cubed Medley』は単純にアンケート上位の楽曲をBPM順に揃えたものではなく、「三人の急成長」「そして迎える“終焉の瀬戸際”」を表すものだった。

 

『STAR TRAIN』の振付の中で、三人はこぞって、地上からおりる縄梯子や糸をたぐり寄せるような動作を行なう。「まだ終われない」「まだ死なない」と、自身の“生”を求めるように。

 

▼第二幕【Chrome〜再生】

終焉からの“再生”

 

“終焉の瀬戸際”に直面したPerfumeは、暗転の中、今ツアーで初めてステージ上から行方をくらます。鳴り響くのは、中田ヤスタカが今ツアーのために書き下ろした楽曲『Chrome』。

 

ビルドアップ後、三人は映像の中で、順序よく次の動作を魅せていく。かしゆかが9体のオブジェクトと“10人”で踊れば、あ〜ちゃんは右脚を、のっちは右拳を画面正面へと突き刺す。「1234567891011」(2010)や「JPN」(2012)を彷彿とさせた三人の“像”は、続けて輪郭のみとなり、ステージ上の天井付近で重なり合っていく。

 

直後、三人は舞台袖からそれぞれ異なる音程で声を上げる。一度目。声は重なることなく、ただただ、縦にも横にも広い空間に漏れていく。

 

それでもなお、三人は発声を繰り返す。それらが共鳴する二度目。鳴り響くサイレン、唱えだすカウントダウン。腕を組みながらステージに再登場した三人のパフォーマンスは、『edge』へと続いていく。

 

chromechromium

原子番号24の元素。元素記号はCr。クロム族元素のひとつ。金属としての利用は、光沢があること、硬いこと、耐食性があることを利用するクロムメッキとしての用途が大きい 

 

三人それぞれが過去を踏襲したソロパフォーマンスを見せ、その上で歌声を合わせていくPerfume。自らが持つ性質を確固たるものとして、『edge』の中盤でようやく同じ地点に集う。そして、いつか必ず訪れてしまう本当の“死”を迎えるまで、こうあるべきと誓うように歌っていく。

 

誰だっていつかは死んでしまうでしょ

だったらその前にわたしの

一番硬くてとがった部分を

ぶつけて see new world

say yeh! 

 

一度の“死”を打ち破り、ともにステージに立つ強さを再確認し、その強度をさらに高めたPerfume。意志を固めた三人は、完全な復活を遂げる直前に、恩師によって過去――走馬灯を見る。

 

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過去のライブを振り返るシーン…映像だけでも成り立つように作っていたんだけど。これは…これは走馬灯のように、リアル走馬灯のように見えたほうが絶対に良いってなって。急に足したんです、その3人の動きを。

MIKIKO/『Perfume LOCKS!』2019年10月28日放送回)

Reframe 2019の感想を研究せよ | SCHOOL OF LOCK! | Perfume LOCKS!

 

『edge』に続く『(Kiseki - )Visualization』は、真鍋大度が「Reframe 2019」(2019)のために制作した楽曲だ。MIKIKOは同楽曲について、上記のように語っている。

 

今ツアーのために、同楽曲の最後には『VOICE』のワンフレーズが加えられた。そのフレーズを口にするタイミングで三人位置するのは、奇しくも10年前の「1234567891011」(2010)と同じドームの中央。 Perfumeはこの場所で、「まだ終われない」「まだ死なない」という意を込め、息を合わせて以下の言葉を述べていく。

 

点と点をつなげてこ

 

「これまでの“軌跡”を振り返るから」なのか、「過去を“奇跡”と捉え、その体験に何かを想うから」なのか。真鍋大度が当初どういう意図で『Kiseki』と名付けたのかはわからない。ただ、Perfumeはこの楽曲を経て、再度呼吸をともにすることで『再生』を遂げていく。

 

 

“過去”が詰まった箱を背景に、屈託のない笑顔を浮かべながら。

 

▼第三幕【Party Maker〜MY COLOR】

彼女たちが再生させたもの

 

第二幕で“再生”を果たした三人は、『P.T.A.のコーナー』を経て、『Party Meker』『パーフェクトスター・パーフェクトスタイル』『TOKYO GIRL』といった、ブレイク後の自身を象徴するような楽曲を矢継ぎ早に披露していく。

 

 

そういった怒涛の流れで迎えるのが、『ポリリズム』『Challenger』の2曲だ。

 

くどいようだが、『ポリリズム』とはPerfumeがブレイクを果たすきっかけとなった楽曲であり、そのブレイクの象徴として、「1234567891011」(2010)で大団円を迎えた楽曲である。三人そんな楽曲を、“過去回想”を表現してきた今ツアーのテーマを増幅させるように、「NHK渋谷エコライブ」(2008)をはじめとする“過去”の映像をバックにパフォーマンスを行なう。

 

ポリリズム

ポリリズム

 

 

2011年、関和亮は『ポリリズム』について次のように語っている。

 

ジャケットのイメージの方が先に出てきてまして。互いに相手の顔を持っているという、人の手が次の人の手を触っているという輪廻転生するような、ループするイメージ。

関和亮/『映像+』2011年SPRING号特集「ミュージックビデオとCMの現場」) 

 

“過去回想”、そして“輪廻転生≒再生”を経たPerfumeは、中田ヤスタカPerfumeと出会う前に書き下ろしていたという『Challenger』へと進めていく。

 

この楽曲の冒頭で、結成から2020年までの西暦を数え、「1234567891011」(2010)の『Perfumeの掟』で用いた数字のオブジェ(※3)に光を灯した三人は、ちょうど10年前の自身へエールを送る。その頃に心に宿らせた、国外への感情を再生させるように。

 

ことのきっかけは『ポリリズム』が挿入歌となった『カーズ2』のワールドプレミアショーに招待され、レッドカーペットを歩いた日にある。ファン等誰もいないつもりでリムジンを降りた途端、名前を呼ぶ人、「コッチデライブヲシテクダサイ」と言う人、メッセージボードを掲げた人等がいっぱいいて、「待っててくれてるならライブを演りに行きたい」と思ったのだそう。

(藤井美保/『Perfume LIVE DATA BOOK』Perfume WORLD TOUR 1st解説)

  

直後のMCで、あ〜ちゃんは連日、「2020年は、私たちPerfumeが目標にしてきた年です」と語る。全7公演の中には、滝川クリステルが招致プレゼンテーションで行なった“お・も・て・な・し”のジェスチャーをとった公演もあった。Perfumeは今回の構成で、迎える東京五輪――そして日本にかぎらない、国外への想いをあらわにしている。

 

“最初からこぶしを握って突き上げたり行進するっていう振り付けが、けっこうPerfumeの中でグーを握ってするってなかなか無いなって思って”

“手のひらで形を作ってっていうのはあるけど、グーを握ってやるってあんまり感じなかったから、すごい力強いし。なんか…いままでの私たちっぽさもあるけど、私たちっぽくない、昔の頑張ってる自分みたいな…いろんな想いが入ってるのかなと思って”

かしゆか/『Perfume LOCKS!』2019年10月28日放送回。『Challenger』の振付について)

Reframe 2019の感想を研究せよ | SCHOOL OF LOCK! | Perfume LOCKS!

 

『Challenger』を踊る際、三人は笑顔を浮かべながら拳を強く握る。まるでその動作を懐かしむように。そして、“パーフェクトスター”になる前――特に少女期の頃に抱いていた“挑戦心”を甦らせるように。

 

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この曲は、いろんなところに連れて行ってくれて、(この曲によって)いろんなところでつながってきました。今日、この東京ドームでも、つながっていきたい

あ〜ちゃん/2月25日・東京ドーム公演初日MCにて)

 

今ツアーの最終盤。意味のある握り拳を再生成したPerfumeは、ラストソング『MY COLOR』のために、握ったばかりの拳を開いていく

 

それはもちろん、“挑戦心”を撤回するためではない。 『JPN』を背負う者として、国内外をつなぐために。そして、コッチデライブヲシテクダサイ――新たな“便り”を求めるために。

 

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(文中敬称略)

 

※1 京セラドーム大阪で迎えた2月1日(土)のツアー初日のみ、M07が『SEVENTH HEAVEN』、M08が『ナナナナナイロ』となる

 

※2 大阪公演&福岡公演、名古屋公演&東京公演で内容が異なる。下記参照。

【大阪&福岡】

チョコレイト・ディスコ(2007)

ねぇ(2010)

コンピューターシティ(2006)

Spring of Life(2012)

Sweet Refrain(2014)

NIGHT FLIGHT(2009)

未来のミュージアム(2013)

STAR TRAIN(2015)

 

【名古屋】

チョコレイト・ディスコ(2007)

Baby cruising Love(2008)

ねぇ(2010)

love the world(2009)

Spring of Life(2012)

Sweet Refrain(2014)

NIGHT FLIGHT(2009)

未来のミュージアム(2013)

STAR TRAIN(2015)

 

【東京初日】

チョコレイト・ディスコ(2007)

Baby cruising Love(2008)

ねぇ(2010)

コンピューターシティ(2006)

Spring of Life(2012)

Sweet Refrain(2014)

NIGHT FLIGHT(2009)

未来のミュージアム(2013)

STAR TRAIN(2015)

 

※3 オブジェが追加されたのは名古屋公演初日以降

 

▼special thanks

@1s_htc @Jan01pa @2SA1015P

『天空』に見る、あの頃と異なる“パーフェクトスター”/Perfume 7th Tour 2018「FUTURE POP」個人的ガイドライン

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2018年大晦日のカウントダウンライブを終え、一旦、国内公演のフィナーレを迎えた“Perfume 7th Tour 2018「FUTURE POP」”(中止順延になった大阪公演2日目のことは、ひとまず置いておく)。

今回は、今ツアーのセットリスト&演出を中心に、個人的な忘備録を兼ねたひと記事にします。Twitterで140字を連ねてたところで、きっとまとまらないと思ったので。

※ここで書くのは、マリンメッセ福岡までの【本公演】について。

 

▼Set List

 Opening

M01.Start-Up

M02.Future Pop

M03.エレクトロ・ワールド

M04.If you wanna

M05.超来輪

M06.FUSION

M07.Tiny Baby

M08.Let Me Know

 MC

M09.宝石の雨

M10.Butterfly

M11.スパイス

M12.TOKYO GIRL

M13.575

M14.Everyday

 P.T.A.のコーナー

M15.FAKE IT

M16.FLASH

M17.Party Maker

M18.天空

 MC

M19.無限未来

 

* * *

 

■第一幕【Opening~Let Me Know】

 「Reframe」の延長線上にある「FUTURE」

 

今ツアーのオープニングは、Rhizomatiks×Perfumeを前面に押し出し始めた2013年以降、幾度とPerfumeのライブ演出を手がけてきたevala氏。

 

2015年3月の「SXSW 2015」直前にリリースした“Perfume Translyrics Project”の素材を用いて、Perfumeが歩んできた道を、初の冠ライブである「BEE-HIVE New Year Live '04~Perfume day~」(2004年1月3日、SHIBUYA BOXX)から振り返る。

 

evala氏の電子音楽は、2004年以降の道を大きく3つに分けた。

インディーズ期から初の東京ドームまで、国内のみを上り詰めた【2004~2010年】、

ポリリズム』が映画『カーズ2』挿入歌に抜擢され、Perfumeの3人が“海外”を意識し始めた【2011年】。

そして、IOCコードで“日本”を指す「JPN」の3文字を背負い、初の海外ツアーに臨んだ2012年から、国内でも“代表”として本命視されるようになった昨今までの【2012~2018年】をまとめる。

 

オープニング終盤。サンプリングされた41カ国の“挨拶”が合わさり、3人はある単語を、鮮明に言い放つ。

 

“FUTURE” 

 

ただ、この“未来”を語るためには、“現在”、そして“過去”を語ることも必要だ。

『Start-Up』を経て、3人がゆっくりと“Future Pop City”に降り立つ『Future Pop』。この冒頭で聞こえる“PAST(過去)”、“PRESENT(現在)”、“FUTURE(未来)”の3(6)単語。先の『Butterfly』でもわかりやすく示されるとおり、この「過去・現在・未来」が今ツアーのわかりやすい主題ということを感じさせる。

 

さて、ステージに3人が現れ、ノンストップで全8曲を踊り続ける第一幕。どの公演でも3人が必ず語っていたように、この部分は2018年3月に行なわれた「Reframe」を模して“MCナシ”で魅せた。

自分が知るかぎり、3人が今までに行なった連続パフォーマンスは、「P.T.A.サミット」(2015年、O-WEST)冒頭の6曲が最多。

“Reframeという挑戦によって、自分たちの新たな魅せ方を掴んだ”(意訳)

という言葉のとおり、3人は静かに“未来への可能性”を提示する。

 

また、ここで、「Reframe」当日にかしゆかが語った言葉を一度振り返っておく。

“3人で積み重ねてきたものや、スタッフさんと一緒に作り上げてきたもの、それを見てくれていたファンの人たちの想い。ずっと何年も積み重なってきた想いが再構築されて、また新しく、素敵なものに”

“思い出も振り返りつつ、「新しい」と感じながら「懐かしい」と思える、心の温まるものができる”

上半期の「Reframe」を受け、のっちが誇張ナシに“世界一”と語るアルバム『Future Pop』を手にした上で、チームPerfumeはあらためて、「アミッドスクリーン」「ディープラーニング」などの最新技術を含めたパフォーマンスを魅せる。

今ツアーでPerfumeが見せたいもの――それは「未来&(現在&)過去」≠「テクノロジー&生身」の“共存”だ。

そういう意味でも、今ツアーは「Reframe」の延長線上にあるものだった。

 

 

■第二幕【(宝石の雨)Butterfly~Everyday】

 二段構成の時間旅行が示すもの

 

MCを挟んで続く第二幕。

再構築を経た『Butterfly』をタイムマシンとして、Perfumeは過去――オープニングでターニングポイントとして示した【2011年】へと遡る。

 

今ツアーの開幕日である9月21日から翌週あたりまで、この第二幕冒頭を「会場によって曲を入れ替える位置」と予想した人も多いだろう。

しかし、ここでPerfumeが遡る日時は決まって2011年11月2日――『スパイス』のリリース日だった。

 

いったい、なぜこのタイミングで『スパイス』なのか。

“知らないほうがいいのかもね でも思いがけないワクワクがほしい”

“扉を開けば 全てが見えるわ”

それは、この曲が「“日本”を背負い、“世界”へ踏み出すタイミング」に、「好奇心と勇気を持って、一歩を踏み出せ」というメッセージを込めて作られているからだ。それ故に、ほかの曲へと入れ替えることができなかったのではないだろうか。

 

さて、【2011年】当時まで逆行した3人は、その後、再び時を重ね、2017年の『TOKYO GIRL』へと進む。

Perfumeタワー」の頂上へ進むようにせり上がるステージや、終盤で3人のもとへ集中する数多のスポットライト。観客は、光に照らされる3人を見上げることになる。

つまり「今ツアーの観客」は「MV作中で憂いのある表情を浮かべていた群衆」≒「今ツアーの観客」であり、また、PerfumeもMV同様に、ここで“「東京≠現代」に感じる閉塞感”を吹き飛ばす存在として、“未来への光”をまとう。

 東京を代表し、世界へ向けて

「日本は、本当はすごいんだぞ」(2018年「Reframe」あ~ちゃん)

という意志を表明する。

 

――さらに時間旅行は続く。

続く『575』では再び過去へ戻り、今度は「1234567891011」(2010年、東京ドーム)で詠んだ「五・七・五」を再構築する。

“夢見てた 小さな胸に 光あれ”

“これからも 君との未来を つなげたい”

“この先も ずっととなりで みてくれる?”

(正しくは「この景色 ずっと〜〜」説が有力)

という三句を用いた直球手段で、“ファンとの未来”を提示。

そして“今=現代”や“これから=未来”への喜びを歌う、2017年の『Everyday』へと戻る。

 

この第二幕……二段構成の時間旅行を通して、Perfumeは「ファンとともに進む、挑戦し続ける未来」を示した。

これを踏まえた上で、徳島公演以後、第二幕の冒頭に追加された『宝石の雨』の一節を振り返る。

“まだ笑っていたいでしょ?”

 

 

■第三幕【FAKE IT~無限未来】

 『天空』に見る、異なる"パーフェクトスター"

 

彼女たちが10年以上言い続ける「Perfumeの本域はライブ」(意訳)という言葉のもと、第三幕は進化し続ける「P.T.A.のコーナー」を経て、いわゆる“アゲ曲”の『FAKE IT』『FLASH』『Party Maker』へと続いていく。

 

少し脱線するが、このパートから『チョコレイト・ディスコ』『ポリリズム』という、安定した爆発力を持つ2曲を外したことも、2018年のPerfumeを語る上で欠かせないひとつの要素だろう(もともと『ポリリズム』は大抵のセットリストから外れかけていたとはいえ/だからこそ、カウントダウンライブで魅せたこの2曲は熱かった)。

 

さて、個人的にこの幕……いや、今ツアーで最も大きな文脈を持っていたと思えるのが、第三幕終盤に構える『天空』だ。

続く『無限未来』をエピローグ的に捉えるならば、この『天空』が“今回のセットリストにおける主題を担っている”といっていい。

“天空の街へ 行こう 時を紡ぐ そっと目を開いて キミの元まで”

この曲の冒頭で、Perfumeは空から、今ツアーの各会場へと降り立つ。オープニングで見せていた世界地図、蓄積してきた数々のライブを“更新”するのだ。

 

では、そのオープニングで各地に降り立ったPerfumeは、最後に何を伝えようとしたのか? この答えも『天空』の歌詞の中に存在する。

“完全なんて無いって 分からずにいた頃に”

この一節は、『パーフェクトスター・パーフェクトスタイル』を収録した『Complete Best』のリリース当時を指す。

 

SPEEDに憧れてこの道を走り始め、紆余曲折を経て自分たちの音楽やダンスを信じるも、なかなか芽を出すことができなかったPerfume

解散すら示唆されるなか、彼女たちや周囲の大人たちが“完全”としていたのが、当時の第一線で活躍していたほかのアイドルたちだ。

 

この『パーフェクトスター・パーフェクトスタイル』との繋がりを決定づけるのが、

・コンベスをリリースした当時、周りから何度も「解散するの?」と聞かれていた

・もっさんは『パーフェクトスター・パーフェクトスタイル』をシングルカットするべく奔走してくれていた。ただ、その願いは叶わなかった

・もっさんは今になっても、当時のことを申し訳なさそうに話す

(要約)

という、ツアー終盤・横浜公演初日であ~ちゃんが『天空』後に語ったMC。

 

Perfumeは今、あの頃の“完全”とはまったく異なる形を作り上げている。

20年近くもメンバーを固定し、テクノロジーと融合し、かつフィジカルベースで高パフォーマンスを続ける。

あの頃の“完全”ではない、別の“完全”を今もなお形成し続けているのだ。

 

さらに、ここであらためて、今ツアーの冒頭・第一幕の2曲を振り返らせてほしい。

“あの頃と意味は違うけど そう ボクらは生き続けてきた”(『Future Pop』)

“この道を走り進み進み進み続けた”(『エレクトロ・ワールド』)

「あの頃」とは「完全なんて無いって 分からずにいた頃」であり、

「この道」とは「当時、“完全”の背中を追って歩んでいた路線」だ。

 

その後、『エレクトロ・ワールド』の歌詞はこう続く。

“地図に書いてあるはずの町が見当たらない”

“振り返るとそこに見えていた景色が消えた”

“この世界 僕が最後で最後最後だ”

つまり、終末論的に捉えられていたこの曲にすら、今となっては「誰よりも長く、自らの道を進むこと」「誰も追いつく(真似する)ことができない、唯一無二の存在になったこと」の意味合いが生まれている。

 

やや早合点ではあるが、彼女たちが『天空』≒今ツアーで示したもの。

それは「Reframe」と繋がる“過去の更新”であり、“別の完全を迎える未来への展望”だった。

晦日までを通して観て、こう考えざるを得ない。

 

* * *

 

エピローグ『無限未来』を終えたPerfumeは『Start-Up』と光の下、また別のライブ会場へ向かうべく姿を消す。

“まだまだの可能性と、まだまだある向上心。この気持ちを持って、30歳のこれからを突っ走っていきます“

“『これからきっと明るくなる』。そう信じてもらえる未来を作りたい”

(2019年1月1日の終演直前、あ~ちゃん) 

30代の彼女たちを、彼女たちが見せてくれるその未来を、私は信じたい。

2018年3月10日放送『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』Perfume出演部分文字起こし

表題のまま、Perfume出演部分の文字起こしです。

 

 

* * *

 

宇多丸 …ということで、なかなかに味わい深い投稿が続く「疎遠特集」なんですが、ここらでですね、私にとっての疎遠になった知人友人というのはおこがましいですかね。まあファンですよ。私が一方的にファンだったところから来てますからね。この番組にいろいろゲスト来ていただいたなかのですね、“疎遠になったゲスト代表”ということで、Perfumeの皆さま、コメントをいただきましょう。Perfumeの皆さん、最後の出演は、2011年12月10日、「ボンクラ探求ラジオ<Bag>」…もうさ、元ネタがわからないのよ、『Dig』が終わっちゃってるから(笑)。…「ボンクラ探求ラジオ<Bag>」の回。さぁ、Perfumeの皆さんは、私、宇多丸へのね、どういう風にね、態度が変わっているのかいないのか。私がね、恨みごとを込めた手紙を書いて…この手紙に関しても、読みながら答えていただいているそうなので。約10分かけて、Perfumeの皆さんは答えていただいているそうなので。私もね、どういう風に答えていただいたのか、初めて聞きますので、楽しみでございます。それでは、Perfumeの皆さんのコメントです。どうぞ!

 

==========

 

 『ウィークエンド・シャッフル』をお聴きの皆さん、宇多丸さん。

 

 こんばんは。

 

 かしゆかです。

 

 あ~ちゃんです。

 

 のっちです。三人合わせて。

 

 Perfumeです。

 

 どうもお久しぶりです。

 

 お久しぶりです。

 

 宇多丸さん(笑)。

 

 ウフフフフ(笑)。

 

 え~、だいぶお久しぶりとなっていましたが、なんかね。宇多丸さんから…お手紙届いてるんですよ。

 

 嬉しい~!

 

 すごいのよ 。それもね、ものすごい長文で。まず…

 

「大変ご無沙汰しております。覚えていらっしゃいますでしょうか? RHYMESTER宇多丸です」

 

 そりゃ覚えてる(笑)。

 

 覚えてます(笑)。

 

「ほら、スキンヘッドにサングラスで、ラップやったりラジオ番組やったりしてる、そうそう、その宇多丸です」

 

 ほかにどの宇多丸さんがいるんだろうっていう、感じなんですけども。

 

「2014年、春の金沢での対バン(我が「人生最良の日」)以来、なかなか直接お会いする機会がなく、元恩師…いや、尊師としては正直とても寂しい想いをしていたところです」

 

 そんなに会ってなかったっけ?

 

 うん、みたいだね。ってことは、今、2018年になったから…。

 

 もう4年?

 

 もうちょっとで4年になるんだ。

 

 あっという間。

 

 衝撃的だね。結構、イメージ的には…まあ2年くらい前かなって感じだったんですけど(笑)。

 

 それにしても会ってないなって話、あったね。

 

 たしかにね。そう、それでね。この番組が、ちょっと終わるということでね、長いことお疲れ様です。あの~、この番組に、私たちが…最初に出演させてもらったのが、番組開始まだ間もない2007年9月1日のことでした。

 

 そうだったんだ。

 

 そうなんだ、そんな前。

 

 それにしては板が付きすぎてたよね。

 

 長寿番組みたいな(笑)。

 

 そうそう(笑)、すでに。もう機関銃のように喋ってさ(笑)、隙間がないくらいにさ。

 

 たしかに(笑)。

 

 いや、楽しかったよね。なんか言葉責めって感じでやっぱり、ラップしてる人なんだなって思った記憶があるんですけど。それで5回くらい出させてもらったと。で…。

 

「しかしそれ以降、現在に至るまでの約6年間、なぜかばったりとご出演が途絶えてしまいます。まさしくこれぞS.O.E.N.…疎遠そのもの」

 

 そのもの(笑)。

 

「まあ、実際ね、こっちが勝手に「もう受けてもらえないだろう」とビビってオファーしてなかっただけでもあるんですが。というわけで、当番組にゆかりのあるゲストの方々のなかでも特に疎遠組代表として」

 

 そうなんだ(笑)。

 

 代表になっちゃった(笑)。

 

「可能なかぎりで結構ですので、以下の質問事項にコメントいただければ幸いです」

 

 なんでしょう。

 

 ここにね、質問事項が5つ書いてあるんですよ。まあ、まずひとつめ。

 

「なぜ宇多丸と疎遠になったと思われますか?」

 

 (笑)。

 

 直接!?(笑)なぜ?

 

 ダイレクトだなぁ(笑)。疎遠になったっていう気持ち、ないんだけどね。

 

 たしかに。

 

 なんか、前は…こう、Perfumeの曲をいろんなところで褒めてくれたりとか、ラジオで喋ってくれたりとかして、「あ、Perfumeのこと、応援してくれてるんだな。好きでいてくれるんだな」って思ってたけど、最近はそういうことがあんまりないから。

 

 (笑)。

 

 もしかしたらあんまり興味ないんじゃないかなって、思ってる。

 

 あ〜。

 

 宇多丸さんが?

 

 うん。

 

 たしかにね~。音楽もいろいろね、新しいものたくさん出てきますから。いくらこっちがね、新しい挑戦をしていたとしても、まあ宇多丸さんの耳にちょっと届いてるかどうか、ちょっとわからなかったから…ちょっとやっぱり、不安になってたってところはありますよね。

 

 あるよね?

 

 はい。

 

 あるよね、そうなんだよな。

 

 そこんとこ、逆にどうなんですか?(笑)逆に!

 

 うん。

 

 3月14日に『無限未来』、新しいのが出ますけど、それも聴いてくれてます~? もうね~、かっこいいんですよ。

 

 そう、最近ね、ちょっと音楽性を中田ヤスタカのほうが、こう、方向転換して。あるんですよ、そういうのも、最近。

 

 そうそう。

 

 Futurebassとかに入ってってるけど。

 

 その部類はどうですか? あんまり…グッとは来ないですかね? これは気になる。そして…②。

 

「この上記のような質問、正直めんどくさいと思われます?」

 

 (笑)。

 

 笑っちゃった。

 

 めんどくさ~い。い?

 

 …うん。

 

 (笑)。めんどくさいね。

 

か・の …うん。

 

 まあでも、「愛ゆえに」と感じますね。

 

 そうかも。

 

 ③。

 

「今回の投稿企画のように、かつては親しかったこともあるが、いつの間にか疎遠になってしまった友人の思い出など、御三方にもし仮にありましたら、差し支えない範囲でお話しいただけないでしょうか」

 

 疎遠になった話、こんなにすることある?(笑)

 

 そこを広げていくんだね。

 

 面白いなあ(笑)。

 

 すごい人だね。…疎遠ねー、ありますか?

 

 いや、あるよね?

 

 疎遠、全然あるよ。

 

 だらけ、だらけ。いっぱい。ほら、ウチらみたいに…こう、広島から東京に上京したタイミングが中学生だったっていうのもあって。私…のっちは小学校のときの友達とか、ほぼ、連絡、取れてない。取っても…5年に1回とか。

 

 ふ~ん!

 

 5年に1回、気になるね、逆に。

 

 うん。かな。ひとりふたりに。

 

 私ももうだって…小中高、大学生とか…友達、ほとんど連絡取ってない。

 

 ええ~!? 小中高大全部?

 

 かしゆかとのっち、そういうタイプ。

 

 そういうタイプね。

 

 そう。

 

 (笑)。今までの友人は?

 

 いるんだけど、で、LINEとかも登録してるんだけど、何を連絡したらいいのかがわからなくて。近くにいないし。

 

 うん。…近くにいるじゃん、高校や中学は!

 

 …いる?

 

 いるよ!(笑)だって都内で通ってるじゃん!

 

 いるけど、なに言えばいいんだろうって思うから。

 

 あ~、たしかにね。

 

 だからさ、高校時代からの友達もいるけど、それは全部あ~ちゃんが仲良かった人と、今でもあ~ちゃんが繋がってるから、そこ繋がりで遊ぶみたいな。

 

 そうそうそう!

 

 あ~。

 

 だけだね。

 

 そうか? 

 

 そうそう!

 

 そうか! そうだね。

 

 あの遊ぶグループ、きっかけに…またやり取り取り始めるようになったから(笑)、それまで連絡先知ってても取らなかったもん。

 

 え~、そっか。もう今、ポケモンのことでね。

 

 もう毎日のように。

 

 (笑)。

 

 モリモリに連絡取ってるもんね。

 

 うん。

 

 そっか。そういう意味では、小学生のときの…子はアレだけども。中高大の子は、結構連絡取ってるかもね。

 

 あ~ちゃん、結構まんべんなくいろんな人と連絡取ってるよね。

 

 そうかもしんない。で、会うしね。

 

 すごいなって思う。

 

 あ~。なんかでも、応援してくれとるけぇさ。嬉しくて。そのエールをいただきに行く、みたいなとこ、ちょっとあるかもしんない(笑)。「ありがとうございます、ありがとうございます。頑張るわぁ~」って、本当いただいてるところ(笑)。結果もらいに行ってる(笑)。そういうところちょっとあるかもしんないですけれどね。さあ、そして4個目の…。

 

「実はこの番組、この3月いっぱいで11年の歴史に幕を閉じるんですが、代わりに4月から、宇多丸司会で、月~金の18:00~21:00の新しい帯番組『アフター6ジャンクション』が始まります」

 

 帯。

 

 びっくりした。

 

「そちらなら、たとえばプロモーションタイミングのご出演など、よりしやすくなるのではないかと思うのですが、新番組『アフター6ジャンクション』のほうには、またちょいちょい…出てくれるかな?」

 

 …いいとも~!(笑)

 

 「(タモさん調で)」って書いてあるんで。

 

 指定ですね(笑)。

 

 言わされた感じありましたけど(笑)、でも行きたいよね?

 

 行きたい。

 

 呼んでほしい!

 

 ね、行きたい! ぜひ呼んでいただけたら。

 

 本当によろしくお願いします。

 

 嬉しいです。

 

 すごいね?

 

 だって~。

 

 すごい。

 

 間を空けずに次の番組が、帯!

 

 いや、これもうヤバい。

 

 しかも3時間。すごい。ヒィ!

 

 ヒィ!(笑)

 

 すごいよ~!

 

 ヒィだね。

 

 生活の一部だね。

 

 本当だね。だってもう、この時間のさ、付き合いとかさ、もうできんわけやん。じゃけぇ、そういうお食事とかも、夜10時からスタートとかになっちゃって。

 

 そうだよね。

 

 だってイベントとかライブとかって、だいたい7時からとか、この時間でしょ?

 

 あ、本当だ。

 

 どうす…え?

 

 ライブやらないつもり?

 

 ね、もう土日だけ。

 

 土日のみの活動?

 

 ヒヤ~! すごいよ~。

 

 すごいね。潔いね。でもそれはお客さんにとっても、土日にやってくれたらありがたいし。

 

 そうだね。

 

 まあ、夜中のイベントには…出れるしね。

 

 たしかにね。

 

 はぁ~。

 

 いや、これはすごいわ。どんな番組になるんじゃろうか。

 

 ねぇ~。いや、楽しみだなぁ~。

 

 ぜひ呼んでくださ~い。…で、⑤。

 

「コメントをいただいた、せめてものお礼に、お知らせごとがあればどうぞ」

 

 (笑)。もう先ほど言いましたけども、『無限未来』という新曲が3月14日にリリースです。

 

 はい。

 

 なんでこれはぜひとも…宇多丸さんに聴いていただけたら嬉しいし、そして…ちょっとこの曲の感想を…。

 

 聞きたい!

 

 聞きたいですよねぇ!

 

 最近のPerfumeをどう思ってるのか聞きたい。

 

 うわ。聞きたい。

 

 真意をついた…ね。さっき、ちょっと笑いながら言ってましたけど、結構、思ってま~す。

 

 (笑)。

 

 ではまた会えるのを楽しみにしています! それでは!

 

 Perfumeでした~。

 

==========

 

宇多丸 聴いとるわ! 応援しとるわ、ずっと! ということで、コメントありがとうございます、Perfumeの御三方ね。あの~、とりあえず今回は収録って感じで、この…一方的に聴いてるだけでも、なんでしょうかこの多幸感はね。それだけでもうおじさん幸せ。あのね~、だってほら、『WE ARE Perfume』の映画評もちゃんとやってるし、アルバム出るたびにBUBKAのほうも必ず…っていうか、Perfumeをベストとかに入れてると、もうキリがないから…どこに、適度なところに入れるかが難しいで、苦労してるくらいですよ、それは! 本当にね、全部チェックしてますよ。今回の『無限未来』もめちゃめちゃ…あのー、『ちはやふる』の映画評のときにもPerfumeのこの主題歌が超よくて、続編のときはさ、Perfumeのオープニング…「ここから始めるべきだ!」みたいなことを言ってましたけども、今回の『無限未来』もさ、特に今回の「疎遠特集」のね、この歌詞にちょうど…ピッタリ来るようなね、はからずも。最近の、中田ヤスタカさんのね、Futurebass路線というかさ、また新たな…ネクストセットを模索してる感じなんかもね…まあ詳しくはちょっと! 俺、今あせって答えてるからこういう感じになっちゃってるけども! すごい聴いてるし、常に応援してる。そりゃもう、PerfumeはForeverですから、僕の中でも。「Perfume, forever!」…『ブラックパンサー』混ざってますけどね。…ということで、いつでもね、ファンですし。ぜひ、また『アフター6ジャンクション』のほう、来ていただけたら。すごかったね、「潔い」って言われてましたね(笑)。とかね、まあでも、疎遠エピソードもいただいて。思いのほか、たっぷりコメントいただいて、本当に嬉しかったです。御三方の声が聴けるだけで幸せでございます。まあ、あと、作品の方もですね、今後とも楽しみにしていますので、ぜひぜひ。『アフター6ジャンクション』も思い出していただければと思います。…向こうからズバッと来られると、すごい…ね、急にしどろもどろになっちゃうっていう感じがね(笑)。

 

宇多丸 そしてこの「疎遠特集」…あ、ちなみにこのPerfume、3月14日発売のPerfumeニューシングル『無限未来』は、『ちはやふる -結び-』の主題歌ですから。『ちはやふる』もめちゃめちゃ楽しみ…なんでございますけど(中略)、そんな感じで、新番組『アフター6ジャンクション』、Perfumeの皆さん、そしてリスナーの皆さん、ぜひぜひね、疎遠にならぬよう気をつけて! これ、特集をわざわざやってるわけですから、注意喚起ですから! 皆さんへのね! 当事者意識を持って! ぜひお願いします! そんな感じで!「疎遠特集」でしたぁ!

「代表として呼ばれるよう」「2020年まで続けて」東京五輪に向けたPerfumeコメントまとめ

東京五輪までちょうど1000日。NHKにて『内村五輪宣言!~TOKYO2020開幕1000日前スペシャル~』が放送されました。

今回のPerfume『TOKYO GIRL』…2012年からやってきたTwitterとの連動企画、2014年にパフォーマンスへと導入されたAR技術、2015年からやってきた現実×バーチャル映像、オプティカル・イリュージョン。すべてうまく昇華させた3分間のように思えました(「ドーピング」と呼ばれていた物事もありましたが)。

 

下記は昨年夏以降、徐々に増えてきた「2020年・東京五輪開会式に向けた(?)Perfumeコメント」まとめです。

とりいそぎ、思いつくだけ挙げました。ほかにも思い出したら追記していきます。

 

==============

※2018年5月10日

2014年4月24日『あ〜ちゃんのただただラジオが好きじゃけん。』を追記。 

 

※2021年7月23日

2020年2月「Perfume 8th Tour 2020 “P Cubed” in Dome」を追記。

==============

 

* * *

 

●2014年4月24日

四国4局『あ〜ちゃんのただただラジオが好きじゃけん。』第4回

あ「『30歳までに叶えたいことってなんですか?』。あ〜、なるほど。30歳までに、ねぇ〜…。あと5年ですね。もう25歳の年は始まってるので、5年ないですね。そうか、そういう意味ではね…でも、5年ってあっという間なんよね〜。でも、なんでもできるよね。じゃあそのひとつで…やっぱ、Perfumeっていうものが、やっぱり、その時代に合わせて変化していかないと、やっぱいけないかなと思っていて。…7年後にさ、オリンピックも来るじゃん。そのさ、オリンピックの開会式…日本代表として、披露したい。それが夢だから、5年後は…この今の状態になるたけ近い形で…体力を持たせておくということ(笑)。ヒールで踊ってるかどうかわからないけど、形は違ってるかもしれないけど…でもPerfumeというもので、そのステージに立てていたらいいな〜って、思います」

 

 

●2014年5月29日

国立競技場『SAYONARA 国立競技場 FINAL WEEK JAPAN NIGHT』

あ「みなさま本当に暖かく見守ってくれて。私たちには最初で最後の国立でしたが、7年後、また代表として呼ばれるよう、活動頑張ります!」

 

 

●2016年9月6日

サンスポ『Perfume、全米ツアー完走!東京五輪でも光のおもてなし』

“閉会式をテレビで観たあ~ちゃんは、大舞台を彩ったスタッフの姿に「涙、涙でした」。のっち(27)も「本当に誇りに思ったし、素直に心から格好いいと思えました」と振り返る” “東京五輪のセレモニーには自分たちも出場したい?と聞くと、あ~ちゃんは「『おもてなし~』って(滝川クリステルをまねて)言っていたときは、まだ先だな~と思っていたけど、あと4年なんだ」としみじみ。「4年後、自分たちが、うちのチームも含めて(出演を)お願いしてもらえるようなアーティストでいたい」と力を込めた”

 

●2016年9月6日

デイリースポーツ『PerfumeにNYっ子も興奮!ライブの域を超えている』

“20年東京五輪への関わりを願う声も多く、かしゆか(27)は「純粋に自分たちのために頑張り続けたことが、周りから(五輪に出て欲しいと)言われるようになればいいな」と意欲。MSGに東京五輪-。世界的な評価の高まりが、3人を夢のその先へと運んでいく”

 

 

●2016年12月31日

NHK『第67回紅白歌合戦 紅白楽屋トーク

あ「今年はリオ五輪で、いつもやってくれてるチームの…MIKIKO先生だったり、ライゾマの大度さんだったり、そういう人たちがリオの閉会式でパフォーマンスをしたりとかして。そういうのってすごい…誇り。一緒にやってきた仲間がああやって評価されるのって本当に誇りで、鼻高々なんですよ。それと同時に、自分らもちゃんとせにゃというか、身が引き締まったんですよね。だから…これから東京五輪もあるし。それに向けてまだ3年、4年ありますから、うちらもまだまだ磨いていけたらなと思ってます」

 

 

●2017年2月3日

音楽と人』2017年3月号

──じゃあ最後に、東京オリンピックが開催される2020年、そのとき自分は何をしてると思いますか。

あ「うーん……やっぱり倫子さんみたいに、オリンピックを1人で観ることを怖がっているんじゃないかな」

──Perfumeは何をしてるでしょうね。

あ「どうですかねえ。でも、東京オリンピックが決まったときに、開会式でパフォーマンスしてよって、いろんなファンの方や友だち、大切な人たちからも、メールやコメントもらったんですよ。〈いや、そうなったらいいけど……〉って思ってたら、テレビのランキングで『オリンピックでパフォーマンスを披露してほしいアーティスト』にPerfumeがランクインしてて。〈うわっ、すごいな〉って他人事のように思ってたら、去年、リオの閉会式でMIKIKO先生が演出を手がけて。ライゾマさんも『最後の閉会式のパフォーマンスは、Perfumeのネタ元から生まれた』って言ってくれてて。なんか、自分たちのやってたこと、関わってくれてた人だってことが世界であそこまで評価されて、それが自分のチームの人だってことが、すごく誇り高かった。それと同時に〈あ、自分たちも頑張らなきゃ〉って思った。そんなすごい人たちに関わってもらってるんだから、もっと多くの人に見てもらって、驚いてもらえるパフォーマンスしなきゃって、自分にも拍車がかかったというか」

──なるほどね。

あ「だから、すごい刺激をもらえました。MIKIKO先生も(真鍋)大度さんも、きっと2020年のオリンピックで、いろいろ活躍される方だと思うから、自分たちの活動も、面白い!とか最高だなって思うことを積み重ねて、2020年までそれを続けて、声をかけてもらえるような存在でいたいなあ」

──じゃあ、あと3年、30歳になるまで続ける目標は出来たってことだ。

あ「うげ(笑)。三十路のPerfume、頑張ります」

 

 

●2017年2月13日

音楽ナタリー「Perfume『TOKYO GIRL』インタビュー|“大人の女性”になった3人の思い」

──「東京オリンピックではいろんな国の人たちの前で踊るPerfumeを観たい」という声も聞くようになりましたし。

あ「ホントにうれしいですね」

──そういうこともあって、傍目に見て今のPerfumeは、少しずつではあれど夢に向かって着実に進んでいるように見えます。

の「はっ! それはうれしい」

あ「自分たちが昔から信じてきた人たちがこうやって今評価されているのは、自分のことのようにうれしいんですよ。『もっと行け行け! MIKIKO先生はこんなもんじゃないんだぞ!』ってすごく思う。けどそれと同時に、『ああ、自分たちもホントにがんばんなきゃな』『テレビの前で観てる場合じゃないな』ってお尻を叩かれるような気持ちになるんです。私たちの一番近くにいる人たちがオリンピックという世界的イベントに携わったなら、その人と一緒にやってきた私たちだって自分を信じていれば大きな夢につながるかもしれない。2016年はそれを強く感じた年でした」

──そう思います。

あ「夢に近付くためには、もっと欲張ったほうがいいのかもしれないって最近思うんです。今までは石橋を叩いて、叩いて、叩くけどやっぱり渡るのやめる!ってくらいの慎重すぎる人たちだったけど、これからは勇気を出して、思い切ったことをバーンとやれるようになりたいですね」

 

●2017年10月9日

フジ『さんまのまんま 秋のさんまもゲストも脂がノッてますSP』

さんま「そろそろ結婚は…と思てんけど、全然?」

あ「そうですね、まだオリンピックくらいまでは頑張りたいですね」

さんま「あ、東京五輪まではやりたいの? なんで五輪目指してんの?」

あ「リオの閉会式を、私たちをずっと…ダンスを習い始めたときからダンスの先生でいてくれてるMIKIKO先生っていう先生が、リオの演出をしたんですよ」

さんま「“日本に向けて”の方か」

3人「そうですそうです」

あ「自分たちのチームの人間が世界に呼ばれて立ったんだっていうのを、すごい誇りに思っていて」

さんま「君ら、チャンスやないか。お世話になってる人と仲がええんやろ? お前ら、開会式あるぞ」

 

 

●2018年3月21日

Perfume×Technology「Reframe」

あ「あ「テクノロジーと接していけばいくほど、『冷たく突き放される』んじゃなくて、やればやるほど『何故かじんわり温かくなる』んです。それは、ひとつひとつのテクノロジーに、すべて手が入ってるからだと思います。すべてに手が入ってる。テクノロジーは、絆を感じる。そういうものだと思います。私たちPerfumeを通して、テクノロジーがもっと身近で、もっと温かいものなんだということ。みんなにも知ってもらえたら嬉しいです。このような機会をいただけたこと、本当に感謝しています。『日本は本当はすごいんだぞ』『もっと行けんだぞ』というところ、みんなもっともっと味わって、もっともっと表現していきましょう」

 

●2020年2月

Perfume 8th Tour 2020 “P Cubed” in Dome」

あ「2020年は、私たちPerfumeが目標にしてきた年です」