妄想でいい

Perfumeライブの圧倒的多幸感”。私が普段から拝読しているブログでも、先日の話題に挙がっていたこの感覚。誰もが覚えた経験を持つ、納得できるものだろう。

 

私もこの感覚を、ライブ初参戦の2009年から覚え続けてきた。とはいえ、ここ数年は己のバタバタとした生活への不安と、「このライブが終わってしまったら…」という焦燥をふとした瞬間に思い浮かべてしまうことが増えてしまっている。参戦した6月18日の幕張二日目も、あるタイミング…あ〜ちゃんが目の前で立ち止まり、歌っている場面でそれらを頭に浮かべてしまった。普段からの感謝、ライブを楽しんでいるという熱い気持ち。それらを彼女に伝えるには絶好のタイミングで、周囲もきっと全力で彼女に手を振り、笑顔を見せていただろうに、それがライブの主ではないことは十二分にわかっているつもりだけど、もったいないといえばもったいない。

 

私はその思いのままあ〜ちゃんを見ていた。彼女は近くの客、遠くの客、まんべんなく手を振り、ときには覗きこむように顔を前に出して笑顔を振りまく。そして私の方を見て、それまで視線をキョロキョロといろんな方向へやっていたのを止め、私と10秒ほど目を合わせてくれた。

 

「はいはい、いつもの妄想ね」「わかるわかる。俺も目が合ったよ」。人に話せばそう言われるということは想像できる。人より思い込みの強い人間という自覚もある。だけど、あ~ちゃんは確かに私と目を合わせ、多分、心を通わせてくれた。自分で言うのもどうかと思うけど、浮かべていた複雑な気持ちを汲んでくれた。サビに入って、あ~ちゃんは視線を遠くに移したけど、私はその10秒弱の間に心を救われた。

 

"トップを走るアイドルは、その子が顔を見せた方向の観客全員に「こっちを見た!」と思わせるスキルがある"と聞いたことがある。乃木坂46の2015年バースデーライブを見に行った人は、松井玲奈のその力に驚かされたという。私はきっと、あ~ちゃんのその魔法のような技術にやられたんだろう。…やられたと言うのは失礼だろうか。「楽しまなきゃ」と我に帰らせてもらい、ごちゃごちゃとしたどうでもいい気持ちを吹っ飛ばしてもらった。妄想でもなんでもいい。笑顔にさせてくれるPerfumeは、あ~ちゃんは、やっぱりトップを走るアイドルだ。

 

こんなに楽しませてくれるんだから、自分も彼女たちを楽しませたい。彼女たちが目標を達成させるための一部になりたい。まだ表舞台に立ってくれている彼女たちを求め続けたい。

 

妄想でいい。そういうのでいい。私を救ってくれるPerfumeにまた会える4ヶ月後まで、生きなければいけない、頑張らなければいけないと思えた。