「止まったままだった時間をいっしょに進んでいこう」/2020年に対するPerfumeの発言

昨日、政府として、対策の基本方針を決定しました。

政府といたしましては、この1、2週間が感染拡大防止に極めて重要であることを踏まえ、また、多数の方が集まるような全国的なスポーツ、文化イベント等については、大規模な感染リスクがあることを勘案し、今後2週間は、中止、延期又は規模縮小等の対応を要請することといたします。

 

上記要請が出た2020年2月26日から1年が経つ。

 

「あの日から時間が止まったまま」という声も散見したし、自分でもそう感じることもあるけれど、1年経ったこのタイミングで今一度、"悪夢のような2020年"に対してPerfumeがどんな言葉を残してきたか、振り返ってみようと思う。

 

ファンクラブコンテンツや配信ライブは振り返りきれなかったが、それらを保存した方々はぜひ、あわせて観返してみてください。特に「POP FES『Imaginary Museum』」。めっちゃ元気出ると思う。

 

では以下、振り返りです。

この記事はただ振り返るだけ振り返って、そのまま終わります。

 

 

* * *

 

 

■2020年3月2日(月) TOKYO FMSCHOOL OF LOCK!

ドームツアーの感想を研究せよ!! | SCHOOL OF LOCK! | Perfume LOCKS!

あ:2月26日に東京ドームで行われる予定だった「Perfume 8th Tour 2020 “P Cubed” in Dome」ですが、新型コロナウイルス感染症対策本部にて政府に要請された方針に従い、公演を中止とさせて頂きました。当日の中止発表となってしまい、私たちもリハーサルを行っている途中だったんですけれども、本当にすいません。申し訳ございませんでした。

か:ドームの外にもう既に来てくれてた方たちもたくさんいたからね。びっくりされたと思うんですが、本当に申し訳ございません。

あ:そして今は、一刻も早く収束すること願います。

 

(多数のメールを受けて)

あ:自分たち以上に悲しんでくれて。自分たち以上に悔しいって言ってくれて。自分たちのほんと、代弁者だなぁって。そういう人たちが、でも3人のことがいちばん心配だよって、また笑顔でステージ立てるように僕たちは待ってるよって、たくさんメッセージ頂きまして。もう本当に力が湧きました。この湧いた力を自分たちのこれからの次のステージに必ず向けて、またみんなと会える機会を作りますので。ちょっとだけ待っていただいて、私たちのこと信じていてください。

 

■2020年4月13日(月) TOKYO FMSCHOOL OF LOCK!

(4月7日の緊急事態宣言発令後初の放送)

Perfume LOCKS!的リモート授業を研究せよ。 | SCHOOL OF LOCK! | Perfume LOCKS!

あ:今夜のPerfume LOCKS!ですが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、リモート授業をお届けしています。

か:生徒の皆さんもね、非常事態宣言が出た地域もありますので、学校が休校になったり、外出自粛をしたりとかね、不自由な暮らしをしているんではないかなと思ってます。

あ:そうですね。私たちもうずっと会ってないよね。

の:会ってないね。

か:うちらは、こうやってお仕事だけどさ、学校の子たちはここのタイミングでしかない卒業式とか入学式とかね、出れたり出れなかったりって不安な思いがあったと思うけど…なんか少しでも私たちで明るくなってもらえたらいいよね。

あ:これで今まで無かった時間とかができて、忙しかった人はあれ?何しよう?ってもしかしたらなるかもしれないんだけど。けど、私たちは会えてないけど、毎日のようにこうやって繋いだりとかして、お話ししたり、打ち合わせしたりとか。取材をこのまま受けたりとか、あとは未来の話…そういう話を3人でしたりして。

 

■2020年6月22日(月) TOKYO FMSCHOOL OF LOCK!

「生徒のみんなが今いちばんしたいことを研究せよ!」 | SCHOOL OF LOCK! | Perfume LOCKS!

あ:最近ね、3人で会ったんですよ。
の:会いました。
か:2ヶ月半くらいかな?会って仕事するのは。
あ:そうそう。Perfume結成20年、こんなに会わなかったことないですね。

 

(「Perfume 8th Tour 2020 “P Cubed” in Dome」の映像化を受けて)

あ:自分がPerfumeってものを本当に大事にしてるってことと、自粛期間中で離れてたっていうか、3人とも会えなかった期間があったけど、ここになんか…確実にここにPerfumeっていう団体があるんだなっていうことが実感できて嬉しかった。
か:なんか久しぶりに自分たちのライブの映像を見たら、こんなかっこいいことやってたんだ〜!って嬉しくなった。

 

■2020年7月2日(木) NHK「みんなでエール キックオフスペシャル」

(ドーム公演中止について)

か:大切な人たちを守るためには、この決断が正しかったんだなって。

 

■2020年9月4日(金) 映画『Reframe THEATER EXPERIENCE with you』パンフレット

(映画、配信コンテンツについて)

か:やっぱりできる限りお客さんと一緒に体感したいという気持ちでずっといるんです。ただ、今はこういう時代。映画館で観てもらえる機会を作ってもらえただけで本当にありがたいし、嬉しいと思っています。(中略)ステイホーム期間に、私もオンライン無観客ライブはけっこう観ました。でも、正直やっぱり寂しくなるんですよ。画面越しでは温度が伝わらないというのが。これまで自分が一番大事に思ってきて、嬉しいと思えてたのは、会場で体感できるあの熱量なんだなと実感しました。それをどうにかできる道がきっとあると思ってて。

 

(×テクノロジーについて)

か:距離を取らなきゃいけない、マスクしなきゃいけない、大きな声を出しちゃいけない……を、きっと逆転の発想で可能性に変えていってくれると思います。そういう新しいカタチになっても、私たちはお客さんと一緒に体感できる、心に響くライブをしていきたいです。

 

■2020年9月4日(金) 『音楽と人』2020年10月号インタビュー

(ドーム公演中止について)

か:ショックだったけど、いつ中止になってもおかしくない状況だなって、24日の夜に覚悟はして臨んでいたので、そこまで取り乱すことはなかったです。だってこれが最後じゃないから。その日を選んでくれた人が人生初めてのライヴだったり、もしかしたら最後になると思って来てくれた人たちがいたかもしれない。その人たちのことを思うと心が痛むけど、でも、Perfumeはまだまだ続くって、自分たちの中にはっきりとした答えがあるから。この中止ですべてが終わるわけじゃなくて、始まりにだってできるはず。それがわかってたから。

 

の:日本で一番大きな会場(東京ドーム)でやる予定だったのが私たちでしたからね。こっちの勝手ですけど、そういうもの(イベントへの自粛要請)もすべて背負ってる気持ちでいました。だって私たちがライヴ中止にしたら、あの日、ホールやライヴハウスで演る予定のバンドやアイドルの人たち、みんな中止という選択に傾くじゃないですか。そういう人たちへの申し訳ない気持ちもありましたね。

 

(ステイホーム期間の活動について)

の:Perfumeって、そんなに日常を見せてこなかったと思うんですよ。こういうインタビューだとぶっちゃけてても(笑)、一般的には生活感をあまり見せない。だからこのタイミングで何かをやるとなると、自宅からが基本になるから、それを見せる見せないの考え方を、ここで一気に変える時じゃない、って。(中略)コロナ禍で社会のシステムとか、いろんなことが変わるタイミングだけど、変わるのは今じゃないな、と思ったんです。どんどん変化していきたいけど、でも今じゃない。私たちにはまだまだ長い時間があって、これからも道は続いていくんだから。

 

■2020年9月16日(水) 音楽ナタリー「Perfume『Time Warp』インタビュー」

Perfume「Time Warp」インタビュー|コロナ禍で迎えた20周年を経て、生まれ変わろうとする3人の今 - 音楽ナタリー 特集・インタビュー

(ドーム公演中止について)

あ:めちゃくちゃショックでした。思い出すとなんかこう、いろんな感情があふれてこみ上げてきちゃうんですけど……誰も悪くないし、その悔しさはどこにもぶつけることができない。ぶつける必要もない。それがわかってるからこそ「この気持ちをどうしたらいいんだろう?」って苦しくて。ここまでのやりきれない思いをしたのは初めてでしたね。やっぱりすっごく楽しみにしてたし、今でもとても心残りがあります。

 

(ステイホーム期間の活動について)

の:1カ月くらい経ってからやっと「こうすればライブができる」とか「テレビの収録ができる」みたいなガイドラインが決まり始めたんですけど、それまではやっぱり「これからどうすればいいんだろう」という不安をずっと抱えながら過ごしてましたね。でもそのことが、今まで「もっと改善できるはず」と思ってたいろんなことを変えるきっかけになるんじゃないかとも思ったんです。Perfumeにとって進化のときなんじゃないかって。(中略)みんなが無観客ライブとか新しいことを始めた時期に、焦って動かなかったのもPerfumeっぽいなって思ってましたね。

あ:みんな「何かやりませんか?」っていろいろ言ってくれてたんですが、自分たち的には、急いで何かをやらなきゃというのはなかった。

 

■2020年9月16日(水) JAPAN Billboard『Time Warp』インタビュー

Perfumeが語る、“過去と現在”の心境が重なりループするシングル『Time Warp』と未来の1ページをめくるドキドキ感 | Special | Billboard JAPAN

(ドーム公演中止について)

か:前日(2月25日)の夜に開催するかしないか話し合った結果、「やっぱり待ってくれている人がいるならやりたい」と思って開催して、払い戻しも行って、本当に自分の覚悟を持って集まってくれた人がたくさん来てくれたので。その人たちへの思いが表情にすごく出ていると思います。そこは、普通の東京ドームライブとは違う表情かもしれないです。

 

(『Time Warp』について)

の:過去の自分も今も未来もそれぞれ自分はそのときを生きていて、そのときにドキドキできているから、「結局は今が最高」っていう歌なんだと私は思っています。「そういう考え方で生きていこうよ」みたいな提案をしているというか。この曲は今年の初めにレコーディングしたので、今のような状況がわからない状態のときに歌った曲ではあるんですけど、すごく今欲しい曲だなって思ってます。

 

(今後の活動について)

あ:世界中の人が、「まさか」というような状況になっていますけど、(中略)これまで会えていたときだったらできなかったことができるようになっていて、逆に距離が近くなっているとも感じているんです。(中略)もともとお客さんと会える状況下であっても、私たちはライブを生配信したり、実験的なエンターテイメントは以前からやっていてそれはもう向上心でしかない世界を楽しんでいて。だから、自分たちは自分たちらしく、カッコいいと思うことをやり続けられたらいいな、と思っています。

の:できないことも増えたけど、できることとか新しい何かを生み出そうとする力の方が、明らかに大きいなと思っています。

か:こういう時期を迎えて改めて、私たちはやっぱり人が好きで、人のためにやってるという部分が強いということを再認識したんです。伝えたい思いとか真意とかは変わらないままで、形が変わっていっても面白いことができたらいいなと思っています。

 

■2020年9月28日(月) TOKYO FMSCHOOL OF LOCK!

POPFESの感想フェスを研究せよ!! | SCHOOL OF LOCK! | Perfume LOCKS!

(POP FES「Perfume Imaginary Museum」の感想メール「あの日会場にいた方々のやるせない気持ちを救ってくれたと思います」を受けて)

あ:やっぱりあの時のことがずっと心の中で乗り越えられなくて引っかかってて、納得できなかった気持ちとかいろんなモヤモヤした気持ちがあったんで。こうやって共感できると嬉しいです。よかったなって思いますね。

 

(『STORY』から始めたセットリストに関するメールを受けて)

あ:バリバリに踊るだけって曲を新しく作ってっていうこともできたんだけど、何より自分たちの今の気持ちがこの『STORY』とすごい共鳴してたから。この『STORY』から始まったところから途中の『GLITTER』も最高だしね。この祈りに近い物語が、私たちがどこまで辿っていけるんだろうかっていう期待もしていただけたと思うんですけど。そういう自分たちの気持ちと重なる部分っていうのが今回のセットリストではすごいあって…自分たちも歌いながら踊りながらこみ上げてくる瞬間っていうのは何度もあったよね。(中略)こういうふうな瞬間というか…画面を通して“遠いキミ”へ届いたんだなって。

 

■2020年12月28日(月) TOKYO FMSCHOOL OF LOCK!

Perfumeの2020年 重大ニュースBEST6を研究せよ!! | SCHOOL OF LOCK! | Perfume LOCKS!

トークテーマ「Perfumeの2020年重大ニュース」について)

の:第1位「ベストアルバムのドームツアー開催しました!最終日東京ドーム公演中止の悔しい思いを、9月のメジャーデビュー15周年&結成20周年のPOP FESで払拭!!」。

か:ギュってした~!(笑)
あ:そこは全部繋がってるんだ~!(笑)
の:繋がってます!! そうですね、ベストアルバム(『Perfume The Best “P Cubed”』)を2019年に出して、そのドームツアーを今年の2月に行ったんですけど、最終日が中止になりまして。その思いをずーっと抱えたまま過ごしていたんですけど、9月に『"P.O.P" (Perfume Online Present) Festival』っていうオンラインフェスを開催して、そこでいちばん最後にパフォーマンスさせてもらって。そこにもう全ての思いをぶつけて消化させようとしました!
か:私たちもそこで悔しい思いをして止まっていたけど、きっとお客さんも、来てくれた人もそうだし、ファンの方もこの先Perfumeどうするんだろう?って、みんなの中で衝撃で止まったままだった時間をいっしょに進んで行こうよって気持ちがすごくあったから、そこを忘れずに次に繋がるステージができたらってのでね、あの時パフォーマンスを考えてね。でもあの日、すっごい楽しかったもんね。(中略)できる範囲でいろんな事を考えてくれた中で、Perfumeにとって新しい事をたくさんさせてもらえて。未来に繋がる可能性をたくさん感じられた日だなぁってすごい思った。

 

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話題は"2020年"から逸れていたので上記には含めなかったが、振り返っている中であらためて印象に残った、『音楽と人』2020年10月号でのかしゆかの発言を最後に書き写しておきたい。

 

か:同じような日常を過ごしていたら変わらないし、その時の感動で終わるかもしれないけど、その中に新しい発見を見つけようと思えば、いくらでも探せるものかなって。

――代わり映えのしない日常でも、そこに何かを見つけようとすることが大事だと。

か:だって同じ1日なんてないじゃないですか。だから何回もやってる会場でも、レコーディングでも、表紙でも、どれも違う感動があります。自分が常に好奇心を溢れさせて、初めてを見つけようと生きていたら、種類が違っても、ドキドキはずっとし続けられると思いますね。

――見方によれば、昔には戻れないよねって捉えられるけど、別にそれが悪いわけじゃなくて、視点が変わればいろんなことが見られるよね、って。

か:人それぞれ、その人次第で世界が変わる。ぼんやりしてたらぼんやり終わるけど、感度を高くして拾おうと思ってたらたくさん拾える。